数学

Darboux の定理とその同値な命題を介した証明

0. この記事でやること Darboux の定理と言う名前の定理はいくつかあるらしいが、ここでいう Darboux の定理は、解析学における積分の理論で重要になる命題である。最近解析学を学んでいるのだが、Riemann 積分の理論の中では一番技巧的(?)な命題で、ちょっ…

級数 $\sum_{n=1}^{\infty} \frac{1}{n^{\alpha}}$ の 収束判定

前回の調和級数の回 *1の続きだが、今回は Cauchy の収束判定法を用いて、級数 $ \sum_{n=1}^{\infty} \frac{1}{n^{\alpha}} $ の収束条件を考えてみよう。 $ \alpha $ が実数のとき、級数 $ \sum_{n=1}^{\infty} \frac{1}{n^{\alpha}} $ は $ \alpha > 1$ …

異なる環上で0になったり、0にならなかったりするテンソル積の例

1. テンソル積とは何か 久しぶりの数学ネタ。代数学の教科書を読んでいると、テンソル積という対象に出くわす。今回はこのテンソル積の例を考えてみた。参考にした本はAtiyah-Macdonaldである。 簡単のため、以下 $A$ を(零環でない)単位的可換環とする。 定…

アルティン環の冪零根基 (と選択公理)

環の中には、アルティン環とネーター環というイデアルの列で定義される環がある。以下に記す命題3は、この二つの環を繋げる役割を持つ命題だが、アティマクの証明*1 が直感的でなく、個人的にわかりにくかったので、別証明を考えた。以下 $A$ を単位的可換環…

自己準同型が自明な体

0. この記事でやること 体とは、ザックリ言って加減乗除ができる集合のことである。体の中でも、素体という特別な体があり、この体の自己準同型は恒等写像しかないことが分かる。このような体を自己準同型が自明な体と呼ぶことにしよう。すると、逆に自己準…

n次交替群( n >= 5 )が単純群であることの別証明

前回に引き続いて、雪江代数に載っている定理の別証明を自分なりに考えたので、書いてまとめておく。 用語の定義と定理 $ n $ 次交代群とは、$ n $ 次対称群 $S_n$ の偶置換全体の集合のことで、$S_n$の正規部分群である。 定義1. $ sgn \colon S_n \to \{1,…

中国剰余定理の別証明

前回に引き続き代数学を勉強しているのだが、教科書に書いてあるのとは違った証明方法を思いついたので、簡単に書いておく。雪江代数一巻に載っている中国剰余定理とは以下のようなものである。 定理. $ m,n \neq 0 $が互いに素なら、$ \mathbb{Z}/mn\mathbb…

クリスマスは数学

クリスマスは数学書を読んでいた。読んでいる本は雪江代数とよく言われる有名な代数学の教科書。これを買ったのは、恐らく1年くらい前なのではないかと思う。空き時間に読み進めているのだが、飽きて休止していた期間が長かったこともあり、未だに読み終えて…