級数 $\sum_{n=1}^{\infty} \frac{1}{n^{\alpha}}$ の 収束判定

 前回の調和級数の回 *1の続きだが、今回は Cauchy の収束判定法を用いて、級数 $ \sum_{n=1}^{\infty} \frac{1}{n^{\alpha}} $ の収束条件を考えてみよう。

 $ \alpha $ が実数のとき、級数 $ \sum_{n=1}^{\infty} \frac{1}{n^{\alpha}} $ は $ \alpha > 1$ なら収束し、$ \alpha \leqq 1$ なら発散することが知られている。これは前回の調和級数を特別な場合として含む。この証明は、古典的な証明を一般化した Cauchy condensation test *2を用いたり、広義積分を用いたりする方法 *3 がある。前回の調和級数の発散証明を基に色々調べていたら、次の Cauchy の収束判定法を用いても証明できるということがわかったので、やってみることにしよう。

 

定義1  $ (a_n) $ を実数列とする。任意の正の実数 $\epsilon$ に対し、ある自然数 $N$ が存在し、$m, n \geqq N$ なら、$|a_m - a_n| < \epsilon$ となるなら、$ (a_n) $ を Cauchy 列 という。

 

 Cauchy 列は実数列が収束するための必要十分条件を与えるという意味で極めて重要な概念である。すなわち次の命題が成り立つ。

 

命題 1
$(a_n)$ を実数列とする。次は同値である。
(1) $(a_n)$ がある実数に収束する。
(2) $(a_n)$ は Cauchy 列である。

 

 さて、級数の値は部分和の数列 $(s_n) $ の極限によって定義されていた。上の Cauchy 列の条件を $(s_n)$ に当てはめれば、級数の収束、発散が判定できる。早速証明してみよう。

 
命題 2
$\alpha > 0$ を実数とする。級数 $\sum_{n=1}^{\infty}\frac{1}{n^\alpha}$ は $ 0 < \alpha \leqq 1$ ならば発散し、$\alpha > 1$ ならば 収束する。
  
(証明) $(s_n)$ を部分和の数列とし、$ 0 < \alpha \leqq 1$ とする。 $$ \sum_{k=n+1}^{2n}\frac{1}{k^\alpha} =\frac{1}{(n+1)^\alpha} + \cdots +\frac{1}{2n^\alpha} \geqq  \frac{n}{2n^\alpha} = \frac{n^{\alpha}}{2n^{\alpha}}n^{1-\alpha} =(\frac{1}{2})^{\alpha}n^{1-\alpha} $$ $ n \to \infty $ とすれば、$\lim_{n \to \infty} (s_{2n} - s_n) > 0$ である。$(s_n)$ は Cauchy 列ではないから、命題1によって、この級数は発散する。
$ \alpha > 1 $ とする。  $$ \sum_{k=n+1}^{2n}\frac{1}{k^\alpha} =  \frac{1}{(n+1)^\alpha} + \cdots +\frac{1}{2n^\alpha} \leqq \frac{n}{(n+1)^\alpha} = (\frac{1}{1 + \frac{1}{n}})^\alpha n^{1-\alpha} $$
$ n \to \infty $ とすれば、$\lim_{n \to \infty} (s_{2n} - s_n) = 0$ である。同様に、$ \lim_{m \to \infty} (s_m - s_{2m}) = 0$ もわかるから、$\lim_{m,n \to \infty} (s_m - s_n) = 0$ であり、$(s_n)$ は Cauchy 列である。命題1によって、この級数は収束する。 ■
 
 書いていて、結局上で紹介されている証明と本質的には同じなんじゃねーか??*4 という気持ちになってきた。自分で証明を探していると、模範解答に次第に似てくるというのは数学あるあるである。

*1: 

 

mkiana0506.hatenablog.com

 

 

*2: Cauchy condensation test - Wikipedia

*3:

mathlandscape.com

*4:結局 比較判定法によるもので、$1-\alpha$ が $0$ 以上かどうなのかという点がポイントである

調和級数が発散することの証明

 次の無限級数が発散することはよく知られている。

$$ \sum_{n=1}^{\infty} \frac{1}{n} = \frac{1}{1} + \frac{1}{2} + \frac{1}{3} + \frac{1}{4} + \cdots  $$

この級数調和級数というが、今回はこの級数が発散することを私なりの方法で証明する。

 

 基本用語を確認しておくと、実数列 $(a_n)$ がある実数 $\alpha$ に収束するとは、任意の $\epsilon > 0$ に対して、ある 自然数 $N$ が存在して、$ n \geqq N$ ならば、$|a_n - \alpha| < \epsilon $ が成り立つ *1 ということだった。任意の実数 $M > 0$ に対し、ある自然数 $N$ が存在して、$n \geqq N$ ならば、$ a_n > M $ が成り立つとき、$(a_n)$ は正の無限大に発散するという *2 。これらを、$\lim_{n \to \infty} a_n = \alpha$,  $\lim_{n \to \infty} a_n = + \infty$ などどかき、$(a_n)$ の極限という。極限は一意的に定まり、四則に関して交換可能である *3 また、$(a_n)$, $(b_n)$ が二つの数列で、ほとんど全ての $ n $ に対し、$ a_n \leqq b_n $ ならば、 $\lim_{n\to \infty} a_n \leqq \lim_{n\to\infty} b_n$が成り立つ。無限級数 $\sum a_n$ の値は、その部分和 $s_n = a_1 + a_2 + \cdots + a_n$ を項に持つ数列 $(s_n)$ の極限として定義され、級数の収束や発散も極限と同様に定義される。

 

 

命題 1
調和級数は発散する。
$$ \sum_{n=1}^{\infty} \frac{1}{n} = \frac{1}{1} + \frac{1}{2} + \frac{1}{3} + \frac{1}{4} + \cdots = +\infty$$
 
 (証明)
 無限級数 $ \frac{1}{3} + \frac{1}{4} + \frac{1}{5}  \cdots $ を考える。この級数の部分和を $t_n$ とすると、$$t_n =\frac{1}{3} + \frac{1}{4} + \frac{1}{5} \cdots \frac{1}{n+2} \geqq \frac{n}{n+2} = \frac{1}{1+ \frac{2}{n}}$$ よって、両辺 $n \to \infty$ として、$\lim_{n \to \infty} t_n \geqq 1$ を得る。調和級数の部分和を $s_n$ とすれば、$s_{n +2} = t_n + s_2$ であるから、$\sum_{n=1}^{\infty} \frac{1}{n} = \lim_{n \to \infty} t_n  + s_2 > 2$ である。従って、ある自然数 $K$ が存在して、$ s_K > 2$ となる。数列 $(\frac{1}{n})$ の第 $K + 1$ 項目以降の級数を考えて、同様の議論を繰り返せば、任意の自然数 $n$ に対し、ある $K_n$ が 存在して、$s_{K_n} > n$ となるから、調和級数は発散する。 ■
 
 級数をスライドすることを繰り返して、任意の自然数よりも大きな部分和を見つけるという点が結構面白い証明だと思う。友達に見せたら、級数を括ってる部分が違うだけで、実質的には古典的な証明と同じと言われた。よく考えたら確かにそうなので、そこまで大したことがないように思えてきた。でも、こういう級数は遊んでみると、色々発見があって面白い。

*1:これをほとんど全ての $n$ に対し、$|a_n - \alpha| < \epsilon $ が成り立つなどどいう。

*2:実数のアルキメデス性によって、任意の実数 $ M $ に対して、$ N > M $ であるような自然数 $N$ が存在する。従って、自然数に関して議論すれば十分である。

*3:要するに、$\lim_{n \to \infty} (a_n + b_n) = \lim_{n \to \infty} a_n + \lim_{n \to \infty} b_n$,  $\lim_{n \to \infty} (a_nb_n) = \lim_{n \to \infty} a_n \lim_{n \to \infty} b_n $  などが成り立つということ。英語では commute with と言ったりするが、日本語での良い表現を知らない。

Netflixで最近見てるドラマ

 海外ドラマって、人気シリーズはクソながくて、中だるみが必ずあるので、最初が面白くても後々になって飽きてしまうことが多い。日本のアニメやドラマみたいに、ワンクールで終わる名作ってないかなーと思って、ネトフリを探していたら、「Into the Night」という2シーズンで終わるドラマを見つけた。本作は、太陽の異常により、太陽光線に当たったものは、死滅してしまうという設定の世界終末モノ。主人公たちは太陽を避けるために、夜の空を飛行機で逃げ続ける。

 


www.youtube.com

 

 この設定だけで、相当面白いのだけれど、世界終末モノでよくある「極限状態に陥った時の人間」が本当に怖いという展開もきちんと盛り込まれていて、登場人物の掘り下げが深いのも、映画ではできないドラマならではの魅力だと思う。

 大体2シーズン目の終わり辺りまで見たのだけれど、やっぱり(笑)というか、終わる気配なし。多分これは続編が出ることになりそうだな、と思う。世界終末モノの終わり方って、滅亡エンドかご都合主義でなんとか上手くいっちゃうかの二択だと思うけど、本作の雰囲気からして、もし終わらせるなら前者だろうな、という気がする。前者は美しい終わり方なら良いのだけれど、不甲斐ない終わり方だと今までのはなんだったの??ということになりかねないので、難しいところだと思う。

異なる環上で0になったり、0にならなかったりするテンソル積の例

1. テンソル積とは何か

 久しぶりの数学ネタ。代数学の教科書を読んでいると、テンソル積という対象に出くわす。今回はこのテンソル積の例を考えてみた。参考にした本はAtiyah-Macdonaldである。 簡単のため、以下 $A$ を(零環でない)単位的可換環とする。

 

定義1.1  $ M $, $N$を $A$ 加群とする。写像 $f \colon M \to N$ が、任意の $x, y \in M $, $a \in A$ に対して、$f(x+y) = f(x) + f(y)$ であり、$f(ax) = af(x)$ であるとき、$f$ を $A$ 線型写像 ($A$ 加群の準同型) であると言う。

 

定義1.2 $ M $, $N$, $P$ を $A$ 加群とする。写像 $f \colon M \times N  \to P$ が、与えられていて、任意の $x \in M $ に対して、$ M $ から $P$ への写像 $ x \mapsto f(x,y) $ が $A$ 線形写像であり、任意の $y \in N$ に対して、$N$ から $P$ への写像 $y \mapsto f(x,y)$ が $A$ 線形写像である時、$f$ を $A$ 双線型写像と言う。

 

 テンソル積とはざっくり言って、与えられた双線型写像線型写像として扱うための"場"である。その具体的なモチベーションは、以下のサイトがわかりやすい。

manabitimes.jp

 

 ここでは、後々例を作るために必要なテンソル積の性質を天下り的に述べる。まず、テンソル積を定義しよう。

 

定義1.3 $ M $, $N$ を 可換環 $A$ 上の加群とする。$A$ 加群 $M \otimes_{A} N$と $A$ 双線型写像 $\phi \colon M \times N \to M \otimes_{A} N$ が以下の性質(1)を満たすとき、組 $(M \otimes_{A} N, \phi)$ を $ M, N $ の $A$ 上のテンソルという。

(1) $P$ が $A$ 加群で $f \colon M \times N \to P$ が $A$双線型写像なら、$A$ 線型写像 $g \colon M \otimes_{A} N \to P$ が一意的に存在して、$f = g \circ \phi$ が成り立つ

 

 上の(1)の性質を テンソル積の普遍性という。上の定義からわかるように、$M \times N$ から $P$ への双線型写像を考えることは、$M \otimes_{A} N$ から $P$ への線形写像を考えることと同じと思える。また性質(1)を満たす組 $(M \otimes_{A} N, \phi)$ は同型を除いて一意的に存在することが知られており*1、$M \otimes_{A} N$ は $\{ \phi(x, y) \mid x \in M, y \in N \}$ という集合で $A$ 上生成される。以下 $\phi(x, y)$ のことを $x \otimes y$ とかき、考えている環が明らかな場合には $M \otimes_{A} N$ を $M \otimes N$ と略記する。

 

 テンソル積への双線型写像を考えることで、テンソル積の普遍性により、以下のような自然な同型写像を作ることができる。ここで $ M\oplus N $ は 加群の直和を表す。

 

命題 1.4  *2
$ M $, $N$, $P$ を$A$ 加群とする。$x \in M, y \in N, z \in P, a \in A$ とする。以下の写像 $f_1$ から $f_4$ で それぞれ 条件 (a) から (d) を満たすような、$A$ 加群の同型写像が一意的に存在する。
(1) $ f_1 \colon M \otimes N \to N \otimes M $ 
(2) $f_2 \colon M \otimes (N \otimes P) \to (M \otimes N) \otimes P$ 
(3) $f_3 \colon (M \oplus N) \otimes P \to (M \otimes P) \oplus (N \otimes P)$ 
(4) $f_4 \colon A \otimes M \to M $
(a) $f_1(x \otimes y) = y \otimes x$
(b) $f_2( (x \otimes y) \otimes z) = f_2(x \otimes (y \otimes z) )$
(c) $f_3( (x, y) \otimes z) = (x \otimes z, y \otimes z)$ 
(d) $f_4(a \otimes x) = ax$ 
 

2. 異なる環上で0になったり、0にならなかったりするテンソル

 さて、$A$, $B$ を異なる可換環とする。$ M $, $N$ を $A$ 加群とすると、$M \otimes_{A}N$ が定義される。$ M $, $N$ が同時に $B$ 加群である時に、$M \otimes_{B}N$ が定義されるが、これらは異なる環上の加群なので、当然異なった構造を持つ。このような例で、特に $M \otimes_{A} N = 0$ *3 だが、$M \otimes_{B} N \neq 0$ となる例を考えてみることにしよう。

 $A$, $B$ を環とするとき、$\phi \colon A \to B$ が環の準同型なら、作用 $A \times B \ni (x, y) \mapsto \phi(x)y \in B$ により、$B$ に $A$ 加群の構造が定まる。特に$A \subset B$ が部分環なら包含写像を考えることで、$B$ に $A$ 加群の構造を定めることができる。

 $M \otimes N$ を 環 $A$ 上のテンソル積とする。$x \in M, y \in N$ として $x \otimes 0 = x \otimes (0 + 0) =  x \otimes 0 + x \otimes 0$ であるから $x \otimes 0 = 0$ であり、同様に、$0 \otimes y = 0$ であることもわかる。 

 

命題 2.1
$A$ を可換環、$ M $, $N$, $P$ を$A$ 加群とする。
$M \otimes N = 0$ $\iff $ 任意の $A$ 双線型写像 $f \colon M \times N \to P$ が零写像

 

(証明)

テンソル積の普遍性によって、

$M \otimes N = 0$ $\iff$ 任意の $A$ 線型写像 $f \colon M \otimes N \to P$ が零写像 $\iff$ 任意の $A$ 双線型写像 $f \colon M \times N \to P$ が零写像 ■

 

例2.2 $\mathbb{Q}[x]$ を $\mathbb{Q}$ 上の一変数多項式環、$f = x^2 - 1 \in \mathbb{Q}[x]$ として、$ M = \mathbb{Q}[x] /(f)$ とする。$N = \mathbb{Q}(x)$ を $\mathbb{Q}$ 上の一変数有理関数体とする。包含写像により、$ M $, $N$ は $\mathbb{Q}$ ベクトル空間になる。また自然な写像 $ \mathbb{Q}[x] \to M $、包含写像 $\mathbb{Q}[x] \to N$ により$ M $, $N$ は $\mathbb{Q}[x]$ 加群になる。

$g,h, i \in \mathbb{Q}[x] (i \neq 0)$ とし、$g$ の $ M $ 上の同値類を $\bar{g}$ とかく。$M \otimes_{Q[x]} N$ の生成元は、$\overline{g} \otimes h/i$ と書けるが、

$$ \begin{align} \overline{g} \otimes h/i &= \overline{g} \otimes fh/fi \\ &= f\overline{g} \otimes h/fi \\ &= \overline{fg} \otimes h/fi \\ &= 0 \otimes  h/fi \\ &= 0 \end{align}$$

である。従って $\mathbb{Q}[x]$ 加群として、$M \otimes_{\mathbb{Q}[x]} N = 0$ である。

包含写像により、$ M $, $N$ は $\mathbb{Q}$ ベクトル空間である。$ M $ の $\mathbb{Q}$ 上の基底として、$\overline{x}, \overline{1}$ が取れるので、$ M $ は $\mathbb{Q}$ 上二次元ベクトル空間であり、$\mathbb{Q}^2$ と同型である。写像 $f \colon \mathbb{Q}^2 \times N \ni ( (c, d), h/i) \mapsto (ch/i, dh/i) \in N^{2}$ は零写像でない $\mathbb{Q}$ 双線型写像である。命題2.1により、$\mathbb{Q}$ ベクトル空間として、$ M \otimes_{\mathbb{Q}} N \cong \mathbb{Q}^2 \otimes_{\mathbb{Q}} N \neq 0$ である。

 

 命題2.1はテンソル積が0になる時の一つの特徴付けを与えているが、考えている環が単純な場合、さらに簡明な特徴づけもある。

 

命題 2.3
$K$ を体、$V$, $W$ を$K$ 上の有限次元ベクトル空間とする。
(1) $\text{dim} (V \otimes W) = \text{dim}(V)\text{dim}(W)$ 
(2) $V \otimes W = 0 \iff V = 0$ であるか $W = 0$ 
 
(証明)
(1). $\text{dim}(V) = n, \text{dim}(W) = m $ とする。$ V \cong K^n, W \cong K^m $ である。命題1.4(3)の同型によって、$V \otimes K \cong K^n \otimes K^m \cong K^{nm}$ となるから、$\text{dim} (V \otimes W) = nm$ である。
(2). (1)より、$V \otimes W = 0 \iff \text{dim}(V \otimes W) = 0 \iff \text{dim}(V) = 0$ であるか $\text{dim}(W) = 0 \iff V = 0$ であるか $W = 0$  ■
 
 次の命題は命題2.3の局所環バージョンである。この命題の証明には完全系列などの色々な道具が必要になるので、証明は省略する。
 
命題 2.4  *4
$A$ を局所環、$ M $, $N$ を 有限生成 $A$ 加群とする。
$M \otimes N = 0 \iff M = 0$ であるか $N = 0$ 
 
 
 命題2.4を用いて、例2.2より少し複雑な例を作ってみる。
 
例2.5 $A$ を可換環、$A_p$ を $A$ の素イデアル $p$ による局所化とする。$A_p$ は局所環である。モニック多項式 $ f \in A_p[x]$ を $f(0) \in A \setminus p, \text{deg}f > 1$ となるように選んでおく。$ M = A_p$, $N = A_p[x] / (f)$ とおくと、自然な環準同型によって、$ M, N $ は、有限生成 $A_p$ 加群である。 $M \neq 0 , N \neq 0$ なので、命題2.4より、$M \otimes_{A_p} N \neq 0$ である。 (実際、命題1.4(4)より、$M \otimes_{A_p} N \cong N$ である)
$\phi \colon A_p[x] \to A_p$ を $\phi(x) = 0$ であるような $A_p$ 準同型とすると、これによって、$ M $ に $A_p[x]$ 加群の構造が入る。$N$ には自然な準同型によって、$A_p[x]$ 加群の構造が入る。$M \otimes_{A_p[x]} N$ の生成元は、$a \in A, s \in A \setminus p, g \in A_p[x]$ によって, $a/s \otimes \overline{g} $ と書かれるが、$f(0) \in A \setminus p$ なので、
$$ \begin{align} a/s \otimes \overline{g} &= f(0)a/f(0)s \otimes \overline{g} \\ &= f(a/f(0)s) \otimes \overline{g} \\ &= a/f(0)s \otimes f\overline{g} \\ &= a/f(0)s \otimes \overline{fg} \\ &= a/f(0)s \otimes 0 \\ &= 0 \\ \end{align} $$
である。従って、$M \otimes_{A_p[x]} N = 0$ となる。
 
 例2.5を見ると、$ M, N $ は $A_p$ 加群としても、$A_p[x]$ 加群としても有限生成であるにもかかわらず、異なった振る舞いをしていることがわかる。
 

*1:Atiyah, Michael; Macdonald, I. G. (1969), Introduction to commutative algebra, Proposition 2.12

*2:Atiyah, Michael; Macdonald, I. G. (1969), Introduction to commutative algebra, Proposition 2.14

*3:正確には、加群として、$M \otimes_{A} N = \{0\}$ ということである。$0$ とかくのは単なる慣習。

*4:Atiyah, Michael; Macdonald, I. G. (1969), Introduction to commutative algebra, Exercise 2.3

近況

 前回は、一人暮らしが色々始まったぞ〜というところで終わったが、その後、気づいたら更新しないで2週間くらい経っていた。

  飯について。前回散々気合を入れていたものの、やはり飯にそこまでエネルギーを割く気にはなれなかった。ので、きちんとした料理を作っているわけではない。最近は、業務用スーパーで安い鶏肉をまとめ買いして、野菜と炒めて食するのにハマっている。家に冷凍庫がないので、コスパの良い2kgくらいある冷蔵の鶏肉は買えないのだけれど、4日ほどもつ冷蔵の鶏肉でも100g,50から70円とかで売っている。これを見ると、普通のスーパーで肉を買うのがバカらしくなってくる。クオリティも気にしなければ、特に問題はなく、1週間に一度買い出しに行けば余裕で保つので、業スー様様という感じだ。野菜に関しては、ひと玉200円以下で2週間は余裕で持つキャベツはマストだが、もう少し緑が深めの野菜ということでピーマンを買ったりしている。しかし、如何せんバリエーションが少なすぎるので、これからほうれん草やブロッコリー辺りにも手を伸ばしていきたいなーとか思っている。

  運動について。最近のトレンドはプールからランニングに変わった。ジムに入ったので、トレッドミルを使っているが、プールでそこそこ泳いでいたおかげか、以前の自分では考えられないくらい走れるようになっていて驚いた。ただトレッドミルは、ロードと比べると非常に走りやすく、走っている(地を蹴っている)というより、自動的に走らされている、という感覚が強い。なので、傾斜率をあげて、速度も時速9-10キロくらいで、30分以上走れるようにするのが今後の目標になる。これくらいの傾斜と速度だと、チンタラ長く走っているのと違い、きちんと足に負荷がかかるし、汗の量や心臓の圧迫感も目に見えて違うので、トレーニングをした感じになる。加えて、筋トレも始めた。今日ようやく上げられる重量に変化が見られてきたので、これからという感じだろう。筋トレに関しては、私の周りの人間はみんなやっている(か昔やっていた)ので、周りと比べて今更感を感じていて、イマイチモチベがなかったのだが、楽しくなるまでとりあえず試してみることにしようと思っている。

一人暮らしスロウスタート

 本日をもって一人暮らしを始めることになった。と言っても、私が実家から出ていくわけではなく、親が出ていくのだが。すっかり物がなくなった家を見ると、その広さに驚く。1人では大きすぎる。

  一番気ががりなのは、やはり食事である。最近は昔に比べて運動をしているせいか、食欲が旺盛になってきている。食費はそこそこ節約したいので、安くて、腹一杯食えるものはないかと、集合知に頼ると、米、麺類、炭水化物で固めろと出る。それも悪いとは思わないのだが、せっかく自炊を始めるのだし、健康にも配慮した食事をしたい。この辺の案配を自分で調整するのは面白そうだし、限られた範囲内でどれだけ美味しくできるのか、と言うところにも縛りプレイ的な面白さがありそうだ。

 今まで食に興味を持ったことは一度もなかった。本当に食えれば良いと思っていたので、一ヶ月間卵かけご飯とか普通にやってた。今日からは、せっかくの一人暮らしを生かして、食にこだわることにしよう!(と言う決意がただの思いつきで終わらなければ良いのだが…)

 とりあえずブログで宣言するからには、それなりに真面目に取り組むので、来週はその成果をまとめたい。

早起きアプリ (メザミー) を半年使った感想

 去年、一つ変わったことがあって、それは朝型人間になったということである。元々朝は苦手だったのだが、メザミーというアプリを使ってから、起床時刻こそ一定ではないものの、朝4~6時に起きることが通常になった。

 

mezamee.com

 

 このアプリは、アラームをセットし、時間までに起床場所から100メートル離れた場所でアラームを解除しないと課金されるという残酷極まりないシステムによって早起きを強制する。だが、課金額は自分で設定可能なので、ダメージがそこまで大きくない金額を設定することによって、もしものことがあっても大丈夫なようになっている。私の場合は1000円で設定している。

 

 

 このアプリの良いところは、起床場所から、100メートル離れたところでないと解除できないというところである。早起きとはその名の通り、ベッドから出て行動しなければなし得ない。

 逆に言うと、改めて早起きの難しさを実感した、と言うこともある。半年も使っていると、早い時間に覚醒することが習慣化したが、未だにこのアプリなしでは、ベッドから起き上がることができないからである。もっと自然に起き上がって、行動する方法はないのだろうか? 実際のところは8-9時起きの方が自然なのかもしれない、と最近は思ってしまっているので、一周回った感がある。私の場合はこのまま時間がずれていくと、どこまでも遅い時間に起きることになるので、未だにこのアプリを使い続けるだろうと思う。