Chat GPTにハマる

 最近流行りのChat GPTだが、私も例に漏れずChat GPTで遊びまくっている。知らない人向けに解説しておくと、Chat GPTは、人間に物凄く近い返答をしてくれる対話型AIだ。今までGPT-3というモデルが最新版だったが、つい最近GPT-4という最新モデルが現れ、凄い性能を持っているということで話題になっている。GPT-3が話題になっていた時は、「ふーん、またその種のAIか」ぐらいにしか思っていなかった。AI関係の話は流行り廃りが激しいので、その時すごいすごいと言われていても、すぐにもっと凄いやつが出てきて、忘れ去られてしまう傾向がある。とはいえ、最近のAIブームの加熱っぷりは凄まじく、特に2022年に出た画像生成系AI、Stable diffusionは相当話題になっていたし、今ではネット上にはAIで生成された画像が氾濫している。対話型AIは昔からあるし、スマホにも搭載されているからもはや身近になってしまっているが、このAIブームの加熱っぷりの中、どんなAIになっているのか興味が湧いた。

 結論から言うと、Chat-GPTは凄い。普通の会話では、ほとんど人間と変わらない返しをしてくれるし、かなり無茶な要求にも応答してくれる。特に、Chat-GPTが得意なことは、会話ができるだけでなく、曖昧な問題を入力しても、その意図を理解して、詳細な解決策の提案をしてくれることだ。そのため、要求をより具体的にすればするほど、より高精度な解答が期待できるようになっている。この辺りは最近の画像生成系AIがprompt(呪文)をより明確にすればするほど、期待値にそった画像を生成してくれるのと似ている。ちなみにChat-GPTは、英語で入力すると、より良い返答をしてくれることが多い。

 GPT-3は、上のように会話や解決策の提案には有用だが、文献の検索には向いていない、と思う。例えば、論文やWebサイトの内容を詳細に尋ねてみると、体感2, 3割くらいは嘘の内容が混じっている。そのあたりは掘れば掘るほど、ボロが出て、それらしく取り繕っているけれど、きちんと読むと支離滅裂なのがわかる。GPT-4は嘘をつく割合はかなり減っているけれど、まだ完全には信用できない、と言うのが正直な感想だ。とは言え、GPT-4はネットにある情報は大抵知っているっぽいので、専門的な内容だろうと、大枠を外すことはないし、わからないことはきちんと分からないと言ってくれることも多い。この辺の欠点に関しては近いうちに直されるだろう。

 総じて、この新しい技術の一番面白いところは、人間の頭の中にある曖昧なものを言葉によって明快な形にしていく能力(つまり言語化能力)がAIの助けによって、飛躍的に高まり得ると言うことを示唆しているという点だ。そうなれば、究極的には、人間は考えるだけにリソースを割くだけで良くなり、今まで人々の頭の中にだけあって、日の目を見ることのなかった妄想が次々と明快な形を持って外に出ていくだろう。この新しい技術は間違いなく、社会を豊かにする可能性がある、と思っている。